正しい正座の仕方

かしこまった場では必須の姿勢

最近では和室の無い家も多くなり、毎日必ず正座をするという人も少なくなっていますが、お祝いや法事の席など和室での行事の時はどうしても必要な姿勢です。茶道、華道といった日本の伝統的な文化もこの正座という座り方を中心にしてそれぞれの作法が成り立っています。

足を折り曲げているだけ?

しかし正座というものを大半の人が誤解しています。正座とは足を折り曲げて座っていれば良いというものではありません。正座の場合の間違ったパターンはおよそ2種類。

1・腰が丸まっている

骨盤が後ろに傾いています。これでは骨盤が土台とならないため、バランスを取るために猫背になっていきます。頭や腕の重さを肩、首の筋肉で支えなくてはならないため、肩、首がこりやすく、足先の方ばかりに体重がかかるため、足がしびれるのも早いです。

腰が丸まっています

2・のけぞっている 

これは一見ちゃんと座れているように見えますが、やはり骨盤が後ろに傾いています。本来なら猫背になるはずなのに、背筋の力をつかって無理やり上半身を起こしています。腰から背中の筋肉にかなりの力が入っているので、やっている本人は「良い姿勢をしている!」と感じますが、体にとってはかなりの負担でリラックスとはほど遠い姿勢です。

のけぞっている

正しい正座はどうやるの?

正しい正座とは、しっかり立った骨盤にリラックスした上半身が乗っています。そして体重は膝から足先まで床に接地している面に均等にかかるので、足がしびれにくいのです。正座をする時も、椅子に座る時と同じく一番大事なのは座ろうとする時です。ここで何気なく座ってしまうと土台となる骨盤が後ろに倒れてしまいます。慣れないうちは骨盤が倒れてからではなかなか修正が難しいのです。何事も練習だと思って手順通りゆっくりやってみて下さい。

1・膝立ち

膝立ちになります。

膝立ちになります

2・股関節で体を折り曲げる

股関節から体を折り曲げます。手をついて支えてもかまいません。 

股関節から曲げます

3・お尻を後ろに突き出す

お尻を後ろに突き出していきます。かかとの上に腿裏を乗せるつもりで目一杯お尻を後ろに突き出して下さい。 

踵の上に腿裏を乗せるつもりで

4・骨盤を起こし上半身を乗せる

骨盤を少し起こして、その上に上半身を乗せます。土台となる骨盤がしっかり支えてくれるので、腰や背中を反らす必要はありません。

綺麗な正座

感覚のズレ

かなり前に傾いているように感じたり、下腹に緊張感を感じたり…と、やはりここでも大きな違和感を感じる方が多いと思います。鏡などで確認していただくとわかると思いますが、骨盤と肩と頭が一直線上に並んでいます。この状態であれば頭や肩~腕の重さを骨盤が支えてくれるため、肩~首、腰~背中の筋肉は無理をする必要がありません。お腹の緊張感はインナーマッスルがしっかり働いている証拠です。

正しい正座のすごい力

正しく正座ができると骨格とインナーマッスルがしっかりと働いて体を支えるため、とても強い力が出ます。肩を上から押さえられてもなんなく立ち上がることができますし、正座から両手をついて礼をした場合、背中の上に人が乗ったとしても苦しくありませんし、つぶれることもありません。このように人間の体というのは正しく使えば想像以上の力が発揮できるようになっているのです。

正座で行う呼吸法

整体の修行のひとつに行気法というものがあります。体の一部分に意識を集中して呼吸をすることでその部分の感受性を高め敏感にするというものです。その中の脊椎行気法をご紹介します。正座で目を閉じて、頭の天辺から背骨の中を通って下腹まで息を吸い込みます。吐くときは逆の経路をたどって頭の天辺から息を吐きます。もちろんこれはイメージなのですが、しばらく続けていると背中が温かくなってきたり、汗ばんだりします。体がゆるみますのでぜひお試しください。