正しい立ち方
すべての動きの基本
すべての動きの基本となるとても重要な姿勢です。それなのに正しく立つこと が出来ている人はほとんどいません。世界トップクラスのスポーツ選手やダンサー、 武術の達人などの中にまれに見られるくらいです。一日の中で、立っている時間と いうのは実は相当長いのですが、それだけ体に無理な負担をかけている時間が長 いということ。逆に言えば、立つという姿勢を正しくするだけで、体の負担は大きく 減らすことができるということです。
間違った姿勢のパターン
街中で立っている人を見ていると、だいたいパターンが決まっています。
- 腰が前に逃げる
- 腰が下がる
- 背~腰を反り過ぎる。
これらが混ざり合うこともありますが、だいたいこの 3 パターンで説明できま す。
1・腰が前に逃げる
土台となる骨盤が前に逃げてしまっています。この状態では太ももの前や、脛 の筋肉で体を支えています。腰と骨盤の境目あたりにもかなりの負担がかかり ます。太ももの前が常に緊張しているので、足が太くなりやすいです。
2 腰が下がる
土台となる骨盤が後ろに傾いています。この状態では腰が丸まり猫背になりやすく、肩から首に負担がかかります。胸を押しつぶす形になり呼吸が浅くなりま す。長期間続けると腰椎(腰の部分の背骨)が丸まって固まってしまうこともあります。
3 背~腰を反り過ぎる
腰と背中の筋肉を使って無理やり上半身を反らしています。一見良い姿勢に みえますが、首~肩~背中~腰の筋肉に大きな負担がかかります。
一度、ご自身の姿勢を鏡で確認してみると面白いですよ。
正しい立ち方とは?
それでは正しい立ち方とはどんな姿勢でしょうか?正しい立ち方は、体の奥の筋肉がしっかり働いて骨格を支え、体の表面の筋肉は リラックス。足の真上に骨盤が乗り、骨盤の上に胸郭が乗り、胸郭の上に肩~頭が乗 っています。それぞれのパーツがゆらゆらと絶妙にバランスをとっているのに、押されてもブレないという不思議な姿勢です。
正しい姿勢
正しい立ち方の条件
正しく立つための重要なポイントは3つ
- 内くるぶしの真下
- 会陰部(肛門の5mmほど前の部分)
- 百会(頭頂の少し後ろ つむじのあたり)
この3つのポイントが一直線上に並びます。
正しく立つ手順
慣れないうちは次のような手順で正しい立ち方を練習してみてください。
1・腿裏のストレッチをする
腿裏の筋肉をしっかりストレッチしておくと、ヒップアップして腰が安定しやすくなります、
2・ゆっくり上半身を起こす
腰が前に逃げないようにゆっくり上半身を起こしていきます。
3・膝をほんの少しゆるめる
腰の上に上半身が乗ったら、ほんの少しだけ膝をゆるめます。
これって変じゃない?
正しい立ち方をしてみると、慣れないうちはとても変な感じがします。ゴリラのようにお尻を後ろに突き出し、上半身は前のめりに折り曲げているように感じるかもしれません。ぜひその姿を鏡に映してみて下さい。お尻を突き出したゴリラのような姿はどこにもありません!スッとした美しい立ち姿がそこに映っているだけです。それほど自分が感じている姿勢と実際の姿勢にはズレがあるのです。その感覚のズレを鏡やガラスを使って確認することで繰り返し繰り返し修正していくのが大切です。
姿勢と心の状態
肩をガックリ落として大喜びする人はいません。堂々と胸を張って落ち込む人もいません。このように姿勢と心の状態は深く関係しています。前のめりの姿勢だと調子の良い時はともかく、常に何かに急き立てられているように感じます。腰が下がるとだんだん腰が重くなり、ちょっとしたことでも面倒くさくなって行動に移せなくなります。心と体はひとつなのです。体がリラックスしていれば当然心もリラックス。自然と深い呼吸になり、いつでも落ち着いていられます。良いことづくめの正しい立ち方、ぜひとも身につけていただきたいです。