正しい座り方
一日の多くの時間を座って過ごしている
立つという姿勢と同じく、一日の中で多くの時間を占めている『座る』という姿勢を解説します。最近では一日中デスクワークという方がとても多く、正しい座り方を知っておくことが疲労の軽減はもちろん仕事の能率アップにも繋がりますので、しっかりと身につけましょう。
ちゃんと座れている人はほとんどいない
普通は人の座っている姿なんてほとんど気にしないとは思いますが、横から見てみますとほとんどの人は骨盤が後ろに倒れた状態で座っています。この状態では、土台となる骨盤はその仕事をしてくれません。土台がしっかりしてくれないと、背中や肩、首などの筋肉が一所懸命に緊張して上半身を支えます。この状態でちょっと背すじを伸ばそうものなら、背中~首までカッチカチ。
この座り方は一見きれいに見えますが、立った時の「気を付け」と同じです。ほんの数分頑張ることが出来れば良いほうで、たいてい1分足らずで元の状態に戻ってしまいます。頑張る→休憩→頑張る→休憩………と繰り返すうちにいつの間にやら……。
よく電車の中で若い方がこんな風に座っているのを見かけますね。こうなっている方は決して行儀が悪いのではなく、自分で自分の身体を支えられないほど疲れてしまっているのです。背中から肩、首の表面の筋肉というのはたいして仕事ができないのでこうなってしまいます。こういう方を見かけたら白い目で見ないで、どうぞいたわってあげてください。
正しい座り方とは?
正しい座り方とはどんな座り方なのでしょうか?
正しい座り方の条件は、
- 骨盤が土台としてしっかり働いていること
- 土台の上に上半身がリラックスして乗っていること
のたった2つだけです。
どうすれば正しく座れるの?
それでは、どうやったら正しく座れるのでしょうか?
何より重要なのは座ろうとするその時です。その時に骨盤を立てておかなければいけません。慣れれば座ってからでも修正はできますが、慣れるまではとにかく最初が肝腎です!
1・腿裏ストレッチの要領でできるだけお尻を後ろに突き出します。
2・そのまま股関節から体を折り曲げて座ります。
3・座面の上にしっかり骨盤を立てます。
4・骨盤の上に胸郭、肩、頭の順に乗せます。
最初にお尻を後ろに突き出す時にみっともないと感じてしまうかもしれませんが、自分のイメージしている姿勢と実際の姿勢にはかなり大きなズレがあります。実際は外から見てみるとそんなに突き出てはいないのでご安心下さい。鏡を横に置いて確認しながら練習してみると良いでしょう。
上虚下実
正しく座れている時は、下腹にグッと力が充実して、上半身はリラックス。体は楽なのに見た目は美しい。自然と呼吸も深くなり心もリラックス。古来から『上虚下実』と云われるとても良い状態です。この時、頑張って体を支えているのはインナーマッスルと呼ばれるお腹の奥の筋肉。なんと!正しく座っているだけでインナーマッスルのトレーニングが出来てしまうのです。もうテレビショッピングで高いトレーニング器具を買う必要はありませんね。
しっかり身につけるには
しっかり身につけるには、とにかく何度もやってみること。今までとはまるで違う姿勢なので、慣れるまでは違和感があるのは当たり前です。座ってみたら、鏡で、骨盤~肩~頭が一直線上に並んでいるか確かめてみてください。そして骨盤~肩~頭~が一直線上に並んでいる時の体感をしっかり覚えましょう。鏡で確認できない時でもその体感が頼りになります。